英語では 2 語以上のかたまりを 句 (phrase) と 節 (clause) に分けて考える。違いはひとつだけ: 中に S+V を含むかどうか。節の中には必ず動詞が 1 つ隠れている。この 1 点だけで見分ける習慣を身につけると、後ろから修飾する複雑な構造がすっきり見えるようになる。高校英語の出発点はここから。
Section 1 — Belgium で気づいた芸術の力
宮﨑健介が高校時代のベルギー体験を通して、言葉を超えて人を結びつける芸術の力に気づき、ロンドンで別の表現方法を探すに至るまで。
Kensuke の人生観
Who am I as a person and as an artist?
- 宮﨑健介にとって、芸術とは、世界中の人々と幸せを分かち合うための方法である。
- 彼は人生を、「一人の人間として、そして一人の芸術家として、私は何者なのか」という問いに対する答えを発見するための旅だと考えている。
ベルギーでの気づき
- 私はずっと絵を描くことが大好きだった。
- 高校時代の春休みの間に、私は2週間ベルギーを訪れた。
- 私は自分の時間を、街路で絵を描いて過ごした。
- 通りすがりの人々は、たとえ私が彼らの言語を理解できなかったとしても、私の作品を見て幸せそうに見えた。
- 私は、人々を結びつけるという、芸術の持つ力を実感した。
1人称に切り替わり、Kensuke 自身の回想が始まる。高校時代の春休みにベルギーで絵を描いた2週間を振り返る。言葉が通じなくても絵を通して人と通じ合えた体験が語られ、Lesson のテーマ「芸術の力」の土台が築かれる。文法の核は(1)名詞を後ろから修飾する関係代名詞節 "People who passed by"、(2)感情原因の to不定詞 "happy to see my work"、(3)to不定詞の形容詞的用法 "the power to bring people together" の3つ。
大学時代の夢とロンドン行き
- 大学時代、私には夢があった。
- 私は、世界中の人々に、自分を偉大な芸術家として認めてほしかった。
- 卒業後、私は有名になるためにロンドンへ行った。
大学時代からロンドン行きまでを短くつなぐ段落。3文はシンプルだが文法要素は濃密: "want + O + to do"(第5文型)、"After graduating"(前置詞 after + 動名詞)、"to become famous"(to不定詞の副詞的用法=目的)。「世界中に認められたい」という大きな夢が、次の段落の挫折への伏線となる。
苦しいロンドン生活
- ロンドンでは、私は小規模ホテルに住み、そこでアルバイトをしていた。
- 私はあまりお金を持っていなかった。
- どの画廊も私の絵を受け入れてはくれなかった。
短く重い3文。SV構造はシンプルだが、"No gallery accepted my paintings" の No による全否定が強烈に効いている。内容・文法とも淡々としているが、その平坦さが「現実の厳しさ」を際立たせ、次の段落「怒り」への溜めとなる。
街頭芸術家の友人たちと「怒り」
- 私の街頭芸術家の友人たちと私は、怒っているように見えることがかっこいいと思っていた。
- 彼らは社会的な不公平に対する怒りを表現していて、その怒りは本物だった。
- しかし私は、普通の生活を送る、ごく普通の家族の出身だった。
- 私はまったく怒っていなかった。
この段落の山場は「友人たちは本物の怒りを持っていた / 自分はそうではなかった」という対比。形式主語構文 "it was cool to look angry"、そして現在分詞の形容詞的用法 "an ordinary family living an ordinary life" という、この Lesson のメイン文法の2つが登場する。"living" が "an ordinary family" を後ろから修飾していることを見抜けるかが読解のポイント。
自分の表現を探す決意
- 私は2年間ロンドンにいたが、それでも有名な芸術家ではなかった。
- 私は、自分自身を表現する別の方法を見つけなければならないと決心した。
2文で結論を示す段落。ロンドン2年の結果と、これからの決意。"I decided [I had to find ...]" は that 省略の名詞節、"a different way of expressing myself" は "of + 動名詞" の形容詞句 — これらが複合した重層的な文で Section 1 を締めくくる。
Grammar Focus文法フォーカス
かたまりが何を修飾するかには明確なルールがある。この 3 原則を押さえれば本文の構造はほぼ解ける。
① [名詞] は修飾ではなく文の要素 (S / O / C) そのものになる。
② 〈形容詞〉 は直前の名詞だけを修飾する (後ろから修飾するのが高校英語の本丸)。
③ (副詞) は動詞・動詞句・形容詞・副詞を修飾する動詞修飾型 (adjunct) が大多数だが、一部は命題全体にかかる文修飾型 (disjunct)もある。名詞以外なら何でも修飾できる万能選手。
(Honestly), he is a liar. = To be honest, he is a liar.幸運にも彼は来た / 正直言って嘘つきだ。 動詞の様態ではなく、話者がその出来事をどう見るか・評価するかを述べる。
句・節の判別で高 1 が特に迷う 5 つのパターンを押さえる。共通する判別ポイントは 「直前に何があるか」「節の中は完全文か不完全文か」「日本語訳のパターン」 の 3 点。この 5 つを押さえれば NEW CROWN 本文の分析で迷うことがほぼ無くなる。
- 文
#p2-s3: 落とし穴 ⑤: "spend time 〈painting on the streets〉" は一見分詞だが、spend + 時間 + V-ing の動名詞パターン。実質 [名詞] 扱い。 - 文
#p2-s4: 落とし穴 ④: "People 〈who passed by〉" の who は関係代名詞 (後ろ passed by の S が欠損)。
Vocabulary語彙
- hatchv/hætʃ/(ひな・卵)をかえす、孵化(ふか)させる派生: hatch (n.) 飛行機や船のドア、ハッチ
- Belgiump.n./béldʒəm/ベルギー《国名》
- recognizev/rékəɡnàɪz/〜を認める派生: recognition (n.) 認識/評価
- graduatev/ɡrǽdʒuèɪt/卒業する派生: graduation (n.) 卒業
- part-timead/pὰːrttáɪm/パートタイムで反意: full-time派生: part-timer (n.) パートタイマー
- guestn/ɡést/来客、宿泊客類義: visitor (訪問客), customer (店のお客), passenger (乗客・旅客)
- galleryn/ɡǽləri/画廊類義: museum (博物館・美術館)
- angern/ǽŋɡər/怒り派生: angry (a.) 怒って、怒った, angrily (ad.) 怒って
- injusticen/ɪndʒʌ́stɪs/不正、不公平派生: in- (〜でない) + justice (公平、公正)
- ordinarya/ɔ́ːrdənèri/ふつうの派生: ordinarily (ad.) 通常は, extraordinary (a.) 並外れた
Key Phrasesフレーズ
- share ~ with ...…と〜を共有するshare A with B の語順。「AをBと分かち合う」。関連: I shared a room with my sister.
- spend ~ V-ing…するのに(時間)を費やす元は "spend + 時間 + (in/on) + V-ing" の形で、前置詞 in / on が省略されたもの。したがって V-ing は動名詞(名詞相当)で「〜すること」。分詞ではない点に注意。関連: I spent two days (in) writing a paper.
- pass by ~〜のそばを通る句動詞。by は「そばを」の意味の前置詞/副詞。関連: The express train passed by the station without stopping.
- bring ~ together〜を集める、まとめるbring A together / bring together A のどちらも可。「人々を結束させる」などで頻出。関連: The Olympic Games bring people together from all over the world.
- work part-timeパートタイム[非常勤]で働く、アルバイトをするwork + part-time (副詞)。⇔ work full-time。関連: I worked part-time as a cashier at a bookstore.
- a guest house(英) 小規模ホテル英国特有の呼び方。B&B に似た家族経営の宿泊施設をさすことが多い。
- live a ~ life〜な生活を送る他動詞 live が同族目的語 "life" をとる構文。間に形容詞を挿入して「どんな人生か」を示す。関連: My aunt lives a happy life. / living an ordinary life (本文より)
3人称視点の導入。Kensuke にとっての芸術を「世界中の人々と幸せを分かち合う手段」と定義し、人生を「自分は何者なのか(一人の人間として・芸術家として)を探す旅」と比喩的に表現する。2文とも SVC 第2文型で、"a way to share" (to不定詞の形容詞的用法)、"see A as B"(AをBと見なす) など、このセクション全体で繰り返し登場する重要な構造を予告している。